財産分与と住宅ローンの関係はどうなりますか?


⑩住宅ローンがついたままの不動産を財産分与で譲り受けるにはどうしたらいいですか。


→ 財産分与の対象となる不動産に住宅ローンがついている場合,銀行等の金融機関が絡むため,夫婦だけの問題では済まない場合が多いです。

  住宅ローン契約においては,不動産の所有名義を移す際に金融機関の承諾を必要としていることが多いです。そもそも金融機関が住宅ローンに伴い不動産に抵当権を設定するのは,いざというときの担保という意味だけではなく,「ローンを払わないと家を売られてしまう」という状況に債務者を置くことで,ローンの支払いを促進する意味があります。ですから,金融機関としては,契約を破って勝手に所有名義を変えてられてしまうと困るわけです。

  だったら,所有名義と一緒に住宅ローンの名義も変更してしまえば,金融機関も文句は言わないだろうとお考えかもしれません。しかしながら,不動産の名義の変更についても同様に金融機関の承諾を求める契約があると思いますし,仮にそのような契約がなくても,住宅ローンのような債務者の名義については,法律上変更が困難です。

金融機関との交渉で住宅ローンの名義を変更してもらうことも考えられますが,住宅ローンの債務者変更には厳しい審査があります。なかなか債務者の変更は難しいでしょう。

  金融機関が住宅ローンの名義変更をしてくれない場合,相手方に今後の住宅ローンを支払ってもらうという方法もあります(ただ,相手方とこのような合意をするためには,譲歩として,財産分与の際にある程度財産を譲るか,代わりの金銭を支払う必要があることが多いでしょう。)。しかしながら,この場合,相手は自分が住まない不動産のローンを支払い続けることになるため,将来支払いが滞る可能性が否定できません。相手に状況や心境の変化が生じ,相手が途中で支払いをやめてしまった場合,抵当権の実行により不動産から追い出されてしまう可能性があるのです。

  以上長々と書いてしまいましたが,上に示した不動産の分与方法は一例に過ぎません。不動産の財産分与には専門的な知識が必要となることが多いので,ご自身に最適な分与方法を選択するためにも,弁護士などの専門家にご相談されたほうがいいと思います。