財産分与するときに税金はかかりますか

 

⑫財産分与するときに税金はかかりますか?

 

→財産分与と税金の関係については,財産分与の対象となる財産を渡す側ともらう側に分けて整理する必要があります。

 

1 財産分与を渡す側と税金

⑴ 財産分与を渡す側は,譲渡所得税との関係で,財産分与としてどの財産を渡すのかが重要になります。

⑵ 渡すものが金銭又は金銭債権(お金を人に請求する権利のこと。)の場合

この場合,渡す側には通常,譲渡所得税は課されません。

⑶ 渡すものが金銭以外の財産(例えば土地・建物など)の場合

この場合は,「譲渡益」が生じている場合に,譲渡所得税が課されることになります。不動産が購入時より値上がりしているような場合などには,譲渡益が生じる可能性が高いので注意が必要です。

もっとも,財産分与の対象が居住用の不動産である場合には,一定の要件を満たす場合に優遇措置(3000万円の特別控除を譲渡益から差し引くことができます。)を受けることが出来ます。この制度の利用の可否については細かい要件がありますし,この制度が利用できなくても他の制度が利用できる場合がありますので,譲渡益が生じる不動産を財産分与する場合には,事前に専門家に相談するなどして,譲渡所得税が課税されるか調べておくと安心だと思います。

なお,夫婦が婚姻時に購入した不動産などで形式的には夫婦の一方の名義になっているものの,実質は夫婦の共有の財産であるとみることができるような財産については,渡す側が有している持ち分の分だけ(通常は2分の1でしょう。)税金がかかることになります。

 

2 財産分与をもらう側と税金

⑴ 贈与税

財産分与は,夫婦の財産の清算であって贈与ではありません。したがって,もらう側については,贈与税が課されないのが原則です。

もっとも,①財産分与として金額が不相当に過大であるような場合や②財産分与を隠れ蓑にして脱税を図っていると認められる場合については,例外的に税金が課されることがあります。税金がかかるのは,①についてはその過大な部分,②についてはその財産全部になります。

⑵ その他税金

不動産を取得し,維持すること自体にかかる税金すなわちと登録免許税と固定資産税はかかります。

 

3 慰謝的財産分与と税金

Q1の中で財産分与の中に慰謝料的な要素が含まれることがあるとお話ししました。慰謝としてなされた財産分与は,形式的に財産分与という形をとっていますが,その実質は夫婦の一方が被った精神的損害の賠償に過ぎませんので,財産を譲渡するものではなく,所得税等が課されることはありません。